株式会社エクシィズ 株式会社エクシィズ

岐阜県多治見市のタイルメーカー
株式会社エクシィズ

MINO SOIL ミノソイル

Story

岐阜県美濃地方は、日本で最も陶磁産業の盛んなエリアとして知られています。その特徴は、伝統ある美濃焼の芸術作品から、日常のスタンダードになっている食器、そして建築やインフラのためのタイルやファインセラミック製品まで、きわめて幅広い領域をカバーしていること。こうした産業が発達してきた根幹には、美濃で採れる土のすばらしさがあります。

MINO SOIL(ミノソイル)は、美濃の土の可能性を、デザインを通じて発信するブランドです。ローカルの土を使ってローカルの人々がつくるのは、ホームユースから商業施設や公共施設まで幅広いニーズに応えるインテリアプロダクト。時代を超える魅力と美しさをそなえたプロダクトは、美濃のつくり手と世界を繋ぎ、土についての意識を変えていくことでしょう。そのために、資源の貴重さを心に刻み、確かな世界観をもつデザイナーと手を組んで、今までにないものづくりを発展させていきます。また素材を循環させる技術の開発をはじめ、環境面の課題にも取り組みます。これは、地球からの恵みである土と、持続するライフスタイルを結びつける、新しい試みなのです。

Mino materials and techniques to be handed down to the future

今から500万~200万年前、岐阜県美濃地方一帯は東海湖と呼ばれる巨大な湖の底にありました。そこに、周辺地域で風化した花崗岩などの成分が粘土となって流れ込みます。長大な時間の中で生成した湖底の粘土層は、深く堆積し、熟成していきました。その後の土地の隆起で地表付近に現れた多様にして豊かな土と、森林や水系に恵まれた自然環境が、美濃のものづくりの背景です。

MINO SOILは美濃の採掘場から採取された素材としての粘土から始まります。美濃地方の粘土は、バリエーションの豊富さが大きな特徴です。特に代表的なものに、木節(きぶし)粘土、蛙目(がいろめ)粘土、もぐさ土などがあります。木節粘土はきわめて高い可塑性をもつきめ細かい粘土で、グレーがかった色と、珪化木(太古の樹木が石化したもの)を含むのが特徴。蛙目粘土もやはり上質な白粘土で、木節粘土よりわずかに粒子が大きく、名称の由来になった石英粒を含んでいます。もぐさ土は歴史ある美濃焼の一種である志野焼などに用いられてきた土で、野趣あふれる独特の味わいをもちます。

それらの土の成分を緻密に調合し、用途ごとに最適の陶土とするノウハウもまた、この地方で高度に発達してきました。原料のポテンシャルを創意工夫により引き出して、1300年もの昔から世界有数の陶磁文化をつくり上げてきた技術を現代に残すもの、それがMINO SOILです。

Collaboration to connect with the world

MINO SOILは美濃に受け継がれてきた技術と自然の恩恵を受けた美濃タイルの素晴らしさを世界に伝えています。2021年から多くのアーティストとコラボレーションを重ね、新的な価値をつくろうとしています。

今までの陶器の制作方法を再考する試みとして、MNO SOILはイタリア人デザイナー、エンツォ・マーリが1970年代に実践したセミインダストリアル(半製品)のパーツをを取り入れた制作方法からインスピレーションを得ています。

それはデザイナーの指示のもと、型やろくろを使わずに機械で生産されたパーツを組み合わせるというものです。このプロセスは美濃地方の陶器の生産方法とは対照的なものですが、産業のセクターによっては「ローテク」の知性とクリエイティビティの歴史的な関係性は今でも残っています。

このプロジェクトには7人のデザイナーが関わっています。オルタナティブな工業生産のアプローチに迫るリナ・ゴッドメ、藤城成貴、クーン・カプート、長坂常、そして美濃を拠点にする土のエキスパートであるカネ利陶料。ディミトリ・ベイラー、ワン&ソダーストロムは従来の生産方法で制作をしています。